判例: 遷延性意識障害
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「自宅介護は無理、寝たきり者の余命は短い」という非人道的主張を完全に排除
損保提示額1億5000万円が、2億3000万円で和解成立
■遷延性意識障害(判例020) ■画期的判例 遷延性意識障害 東京地裁 (和解) 被害者データ
27歳・男性
(会社員) |
認められた主な損害費目
(※弁護士費用及び遅延損害金相当額) |
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詳細
最も大きな争点となったのは、遷延性意識障害者の介護費用と余命の問題でした。在宅介護を強く望む被害者の家族に対し、相手側の損保会社は「自宅介護は無理」と反論してきました。また、「寝たきり者の余命は短い」という医師の意見書を元に、27歳で受傷した男性に対して、余命10年で逸失利益を計算してきたのです。さらに、賠償金については、定期金賠償、つまり、被害者が生存しているかどうかを確認しながら支払うとまで主張してきたのです。
こうした非人道的な主張に対し、我々は徹底的に立ち向かい、判決も辞さないという覚悟で立証を行いました。その結果、裁判所は自宅介護を前提に、住宅改造費1400万円を、また、将来介護料については、母親が67歳までは平日1万2000円、職業介護2万円、母親が67歳以降は2万円(365日)を認めました。
こうした認定に基づき、裁判所からは総額2億円での和解提示がありましたが、我々はまだ介護料に不満があり、被害者側に15%という過失割合についても納得できなかったため、「2億3000万円以下であれば和解に応じない」という強い意思を示しました。その結果、裁判所は3000万円の引き上げに応じ、2億3000万円で和解が成立したのです。ちなみに相手側が提示していた和解額は、1億5000万円でした。 (東京地裁管内 和解)
増額のポイント
遷延性意識障害者の多くが、被害者であるにもかかわらず、こうした非人道的な相手側損保会社の主張に苦しめられている。ちなみに、本件訴訟で相手側は、“吉本”という医師の意見書により「自宅介護は無理、余命は短い」という主張を展開してきた。我々は被害者の両親とともに、こうした不当な主張に真っ向から反論し、徹底的に立証活動を行った。その結果、相手側の主張をことごとく覆した上で判決に匹敵する和解額を勝ち取り、納得のいく結果を残すことができた。
実は吉本医師の意見書はこの種の事案において、繰り返し使われており、多くの被害者が苦しめられているのが現状だ。ぜひとも泣き寝入りをせず、こうした判例をもとに闘っていただきたいと願うものである。