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判例: 遷延性意識障害

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緻密な立証で自宅介護を認めさせ、高額な住宅改造費や介護料を獲得

「余命の短縮」「生活費控除」等、相手側のマイナス主張はすべて排除

■遷延性意識障害(判例016)
■画期的判例 遷延性意識障害 東京地裁管内 (和解)

被害者データ 25歳・女性 (会社員)
原告が助手席に同乗中、前方不注視の大型貨物車が追突 遷延性意識障害 1級 (東京地裁管内)

認められた主な損害費目

将来介護料

約1億1,700万円

逸失利益

約5,900万円

住宅改造費

約1,800万円

介護諸費用

約1,900万円

傷害慰謝料

約400万円

後遺障害慰謝料

約3,500万円

近親者慰謝料

約800万円

その他

約1,800万円

損害額

約2億7,800万円

調整金※

約2,100万円

総計

約2億9,900万円

既払控除(任意)

-約400万円

既払控除(自賠責)

-約4,000万円

最終金額

約2億5,500万円

(※弁護士費用及び遅延損害金相当額)

詳細

本件には、3つの争点がありました。

1つ目は、「自宅介護が可能かどうか」という問題です。この点についてはどの事案も同様ですが、我々はまず、両親と協議しながら被害者を受け入れるための条件を整え、その上で、入院先の主治医から「自宅介護可能」という承諾を得ました。さらに裁判では自宅介護におけるメリットをしっかりと主張し、結果的に十分な住宅改造費や高額な介護料が認められました。

2つ目の争点は、遷延性意識障害者の「余命」についてです。加害者側は例にもれず、「余命を短縮すべきである」という主張を展開してきましたが、これについてはすでに判例で「医学的にみて、確たる証明はなされていない」と明示されており、和解では平均余命が認められました。

3つ目は、「遷延性意識障害者は寝たきりで生活費がかからないのだから、生活費控除をすべきではないか」という議論です。たしかに、こうした主張を認めているケースもごくまれにありますが、障害者と言えど、外出の際には洋服も必要で、情操教育のためには音楽を聴いたり、読書をしたり、健常者と同じようにテレビも見ます。実際に、こうした刺激を与えることで感情表現が豊かになり、意思表示が可能になることもあるのです。また、我々は、ノーマライゼーションという観点からも、控除すべきではないと強く主張したところ、相手側の主張は完全に排除されました。 (東京地裁管内 和解)

増額のポイント

自宅介護のメリットと介護プランを緻密に立証した結果、1800万円という極めて高額な住宅改造費が、さらに、介護雑費は日額1500円(平均余命まで61年間=約1000万円)、職業介護料も日額2万円が認められたことで、介護費用のみで合計1億7000円という高額で和解を成立させることができた。

 また、本件被害者は助手席に同乗中、不可抗力の事故で人生を奪われ、介護にあたる両親の苦しみも計り知れないものだった。我々はそうした辛さもしっかりと主張した結果、本人分3500万円という高額な慰謝料につながった。

 ご家族は日々大変辛い介護の日々を送っておられるが、我々との出会いにより、自宅介護のための十分な設備と介護費用を確保することができ、その点においてはご安堵いただいた事例である。

加害者自らが、遷延性意識障害という重篤な障害を負わせているにも拘らず、訴訟において「余命が短い=長生きしない(早く死ぬ)」という被告主張は言語道断である。この非人道的な反論を粉砕できたことは、大きな意義がある。

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