判例: 遷延性意識障害
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家族の強い意志が自宅介護を認めさせ、高額の介護料を獲得した例
自宅介護による3つのメリットを丹念に主張
■遷延性意識障害(判例015) ■画期的判例 遷延性意識障害 さいたま地裁管内 (和解) 被害者データ
14歳・女性
(中学生) |
認められた主な損害費目
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詳細
被害者は中学生のとき遷延性意識障害を負い、我々が依頼を受けたときは、NASVAの療護センターに入院中でした。両親は将来的に自宅での介護を強く希望されていました。
本件訴訟では、まさに「自宅介護が可能かどうか」が争点となったのですが、我々はまず、両親と協議しながら患者を受け入れるための条件を整えた上で、主治医から「自宅介護可能」という承諾を得ました。さらに裁判では自宅介護におけるメリットをしっかりと主張。その結果、相手側もそれを前提とした高額な介護料を認め、和解が成立したという事案です。両親は主治医の承諾を得るため、自宅介護のための訓練を積むなど、大変な努力をされました。
ちなみに、自宅介護のメリットとは、以下の3点です。
1、被害者にとっては事故前と同じく家族と共に過ごすことが最も自然な姿であり、憲法上の住居の自由も守られる(ノーマライゼーションという考え方)。また、遷延性意識障害者であっても意識はあるため、自宅に帰ることでさまざまな刺激が与えられ、症状が改善されるケースが多い
2、自宅は施設よりも衛生的で、感染症の心配が少ないため、余命を全うすることができる
3、マンツーマンの丁寧なケアができるため、じょくそうなど、余病の発生が防止できる
しかし、たとえこうしたメリットが明確であっても、自宅介護は主治医からの承諾がなければ実現させることはできません。そのためには、以下の条件を整えておく必要があります。
①自宅が介護に対応できるよう改造され、介護設備が整っていること
②介護者のマンパワーが十分であり、なおかつ介護技術が熟練しており、じょくそうなど、余病の発生を防止することができること
③緊急時に近隣の病院(医師)が対応できること
在宅介護を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。 (埼玉・さいたま地裁管内 和解)
増額のポイント
両親が「自宅で介護をしたい」という希望を貫き、各種条件をクリアした結果、住宅改造費のほか、高額な介護料が認められた。
また、被害者は事故当時14歳の中学生で、まだ就労していなかったが、逸失利益は我々の主張通り、男女平均賃金(490万円)が採用された。
結果的に、家族、医師、弁護士、三者の協力体制が生み出した好事例といえる。