判例: 遷延性意識障害
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「遷延性意識障害者の平均余命は短い」という損保の主張を覆した事例
意識のない原告に代わって現場調査を徹底。被害者過失50%主張を5%に減縮
■遷延性意識障害(判例007) 裁判所認定額 約1億4,400万円 ■画期的判例 遷延性意識障害 名古屋高裁管内(和解) 被害者データ
21・男性
(会社員) |
認められた主な損害費目
(人身傷害保険と無保険車傷害保険を併用) |
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詳細
まず問題になったのは、過失割合に大きな影響を及ぼす「信号の色」の判断でした。
被告側は、「お互いに赤信号で交差点に侵入した」と主張していましたが、我々が意識のない原告に代わって実況見分調書を読み込み、徹底的な現場調査を行ったところ、被告側の供述に数々の矛盾を発見。裁判でその点を指摘したところ、結果的に被告側の赤信号無視が認められ、原告側の過失は5%に抑えることができました。
もうひとつの大きな争点は、平均余命でした。
原告は症状固定時24歳の男性で、本来なら平均余命は55年とするのが相当です。しかし、被告側の損保会社は「寝たきり者の平均余命は統計的に短いため、介護期間を10~15年間とすべきだ」と主張してきました。我々はこれまでに獲得してきた判例などをもとに反論したところ、裁判所は平均余命までの期間を全て認め、55年分の介護費用と逸失利益を認めたのです。
また、原告は遷延性意識障害となり、母親の手によって在宅介護を受けていましたが、その負担の重さも緻密に立証したところ、日額1万6,000円という高額な職業介護料が認められました。 (愛知・名古屋地裁管内 和解)
認定額増額のポイント
交差点内の事故の場合、信号の色は過失割合に大きな影響を及ぼす。本件では、実況見分調書と供述調書から相手の矛盾を指摘し、現場調査も徹底的に行った上で、相手が全赤であったことを立証し、原告の過失割合を引き下げることに成功した。また、遷延性意識障害者の余命については、本件のように損保側が10~15年と主張してくるケースがよくみられるが、最近の判例では平均余命までの期間を全て認めることが一般化している。そのことをしっかり主張することが重要だ。