判例: その他の後遺障害
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自賠責等級の見直しにからみ「金額の低い新基準を使うべきだ」と主張する損保会社に反論。旧基準の慰謝料を認めさせた例
原告が働いていたにもかかわらず、労働能力喪失率は25%を、また基礎収入は大卒男子の平均を認めさせた。
■その他の後遺障害(判例009) ■画期的判例 その他の後遺障害 被害者データ
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認められた主な損害費目
※弁護士費用及び遅延損害金相当額 |
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詳細
ひとつ目の争点は過失割合でした。相手側は「原告の過失は40%だ」と主張してきましたが、我々はせいぜい10%だと反論。その結果、裁判所は20%と判断しました。もうひとつの争点は、障害等級です。実は、原告が等級認定を受けて間もなく、自賠責の認定の基準が変わったため、相手側は自分たちにとって有利な「新基準」を使うべきだと主張してきたのです。具体的には「併合7級ではなく、新しい基準の10級を使うべきだ」という内容でした。さらに、10級の労働能力喪失率は27%だが、仕事をしているので15%で計算してはどうか、という主張までしてきました。
そこで我々は、原告が障害を抱えながらも苦労して働いていることを懸命に主張。その結果、裁判所は、慰謝料については旧基準で認定された7級(940万円)を認めました。10級の場合は550万円なので、それだけで400万円近い差が出たことになります。逸失利益については、残念ながら新基準がベースとなりましたが、原告が働いていたにもかかわらず、労働能力喪失率は25%を、また基礎収入は大卒男子の平均を認めました。 (愛知・名古屋地裁管内 和解)
増額のポイント
自賠責の等級基準は時々変更されることがある。損保会社にとって新基準のほうが有利な場合、懸命に新基準を使って金額を抑えようとしてくるが、障害等級が旧基準で認定された以上、そのことをしっかりと主張することが大切だ。また、本件の場合は、事故後働いていたにもかかわらず、本人が大変な苦労をしながら仕事を続けていることを、陳述書と証人尋問でしっかり立証した。その結果、大卒670万円、10級相当の労働能力喪失率が認められ、その結果3,200万という、併合7級としては極めて高額な逸失利益になった。総額4,110万円(自賠責込)を獲得し、同程度の後遺症事案では、高額な和解を獲得した事案である。大変意義のある結果と言えるだろう。