判例: 高次脳機能障害
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病識のない被害者本人の話とは異なる厳しい介護実態を明確に立証
高次脳2級で職業介護日額1万4,000円が認められた事案
■高次脳機能障害(判例066) ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
21歳・男性
(アルバイト) |
認められた主な損害費目
(※弁護士費用及び遅延損害金相当額) |
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詳細
車の助手席に同乗中、運転していた友人がハンドル操作を誤り、路外の信号柱に激突。そのはずみで原告が脳に大きなダメージを負ってしまったという事故でした。原告はシートベルトを着用していなかったため、相手方は10%の過失を主張していましたが、裁判所は結果的に5%の過失と認定しました。なお、この5%分については、裁判の後に人身傷害保険によって相当程度が補填されています。
もう一つの争点は介護料です。被害者は事故後、高次脳機能障害によって生活能力をなくしており、しかも人格変化の影響で暴れるなどしていたため、仕事を辞めて介護に当たっていた母親を始めとする家族での見守りや介護に大きな負担が生じていました。にもかかわらず、被害者本人は障害の自己認識を欠いているために、自分ではなんでもできると思っていて、病院でもそのように話をしていたのです。このように本人が話をしていたため、相手方は、被害者にも相当の生活能力が残っているのであり、高額な介護料は必要ないと主張してきていました。
そこで我々は、主治医に対して照会を行い、病識のない高次脳機能障害者が実際にはできていないことでも自分でできたと話してしまうことが大いにありうることを立証するとともに、母親の詳細な尋問を行って被害者の事故後の実態を丁寧に立証しました。
その結果裁判所は、事故前にはフルタイム就労していた母親の復職を前提に、職業介護人1万4,000円(年間240日)、家族介護8,000円(年間125日)、母親67歳以降は1万4,000円(365日)という、2級としては高額な介護料を認めました。 (神奈川・横浜地裁管内 和解)
増額のポイント
介護料について激しい争いがあった事案だが、結果的に相手側の提示額の2倍を上回る金額が認められ、和解でありながらほぼ判決と同額の賠償を得ることができた。実際の被害者の状態と介護の必要性について、主治医からの意見と母親の詳細な尋問で立証したことが、裁判所の判断に大きな影響を与えたと言えるだろう。
被害者家族には、家計のためにも母親も就労せざるを得ない事情があり、職業介護料をしっかりと獲得したことによって復職の道が開けたことで、大変ご満足いただけた事案である。