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判例: 高次脳機能障害

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「子どもは回復する見込みが大きい」という損保の主張を覆し、高額介護料と住宅改造費を認めさせた例

親としても回復を信じたい気持ちに変わりはないはずが、あえて現実を見極め、担当医の協力も得ながら主張していくことが大切。

■高次脳機能障害(判例046)
裁判所認定額 約2億5,100万円
■画期的判例 高次脳機能障害

被害者データ 9歳・男児 (小学生)
■ 原告が信号のない横断歩道を横断中、普通乗用車と衝突
脳挫傷による重度高次脳機能障害 1級 (さいたま地裁管内)

認められた主な損害費目

将来介護料 約1億1,600万円
逸失利益 約6,800万円
住宅改造費 約1,000万円
介護機器装具等費用 約2,000万円
将来治療費 約500万円
後遺障害慰謝料 約3,000万円
その他
約1,500万円
損害額
約2億6,400万円
調整金※ 約3,600万円
総計
約3億円
既払控除(任意・自賠責) ▲約4,900万円
最終金額 約2億5,100万円
   
近親者慰謝料 約900万円
約2億6,000万円

(※弁護士費用及び遅延損害金相当額)

詳細

ひとつ目の争点となったのは、過失割合でした。
相手側は被害者にも10%の過失があると反論しましたが、我々はあくまでもゼロであると主張。その結果、裁判所はゼロを認めました。

次に大きな争点となったのは介護料です。
相手の損保会社は「子どもは回復する見込みが大きいので、介護料は少なくてよい」という理由を挙げて、介護料は低額、さらに住宅改造費は必要なし、もしくは極めて低額でよいという主張をしてきました。

しかし、本件の被害者は事故後、市役所が提供した介護人付きで、なんとか学校に通っていたのです。

そこで我々は、「回復は難しい」という担当医の意見書に加え、両親の陳述書、学校の教師および市役所の介護人から、介護の大変さに関する陳述書を取り、介護の必要性を丁寧に立証しました。

その結果、職業介護日額1万8,000円、家族介護日額1万円という高額の介護料が認められたのです。
また、住宅改造費についても緻密な立証をした結果、1,000万円が認められました。 (埼玉・さいたま地裁管内 和解)

増額のポイント

被害者が子どもの場合、加害者側の損保会社の多くは、「子どもは回復する見込みが大きい」と主張し、介護料や住宅改造費などを大幅に減額しようとしがちだ。
親としてもその主張を信じたい気持ちに変わりはないはずが、あえて現実を見極め、担当医の協力も得ながら主張していくことが大切だ。

本件の場合は、こうした緻密な立証を経て、和解でありながらも事故の悲惨さに鑑み、本人・家族含めて3,900万円という高額な慰謝料が認められた。

また、調整金(弁護士費用及び遅延損害金相当額)を3,600万円認め、最終金額2億6,000万円(任意・自賠責4,900万円控除後)という、判決と同視し得る金額を獲得した事案である。

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