判例: 高次脳機能障害
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被害者の日常をビデオ撮影し介護の過酷さを立証
2級でも限りなく1級に近い重度障害と認めさせた事例
■高次脳機能障害(判例034) 裁判所認定額 約8,500万円 ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
55歳・男性
(郵便配達アルバイトおよび・貴金属加工) |
認められた主な損害費目
(※弁護士費用及び遅延損害金相当額) |
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詳細
第1の争点は、過失割合でした。
現場交差点の道路は、原告側のほうが狭かったため、被告側は原告の過失を5割と主張してきました。しかし、我々が入念に現場調査を行った結果、相手の速度が相当出ていたことを立証でき、その結果、原告側の過失は30%と認められたのです。
第2の争点は、介護料でした。
被告側は、介護料を日額5000円と主張してきましたが、高次脳機能障害を負った原告は、伝い歩きや食事などはできるものの、それらすべてを自らの意思で行動しているとは認め難い状況でした。実際には生活全般にわたって、妻と娘による家族介護が必要だったのです。
そこで我々は、介護の困難さを立証するため、原告の日常生活をビデオで撮影し、証拠として提出。後遺障害等級は2級でありながら、実際は限りなく1級に近い障害であることを主張しました。その結果、裁判所は「随時介護の範囲を超えた介護が必要である」と判断し、職業介護日額1万3,000円、家族介護日額8,000円を認めました。また、2級の高次脳機能障害者に対して、後遺障害慰謝料3,000万円、家族慰謝料560万円という高額を認めたのも、結果的にこうした緻密な立証が役に立ったと言えるでしょう。 (山梨・甲府地裁管内 和解)
認定額増加のポイント
まず、事故状況において原告が不利な状況であっても、決してあきらめずに徹底的な現場調査を行うこと。本件もそうした行動によって、過失割合の逆転に成功した。また、高次脳機能障害者の場合、介護の実態には個人差があるが、日常生活をビデオで撮影したことにより、裁判官に現実の過酷さを伝えることができた。本件の場合、事故日から解決までに約4年が経過していたが、こうした積み重ねが、和解でありながら高額な将来介護料や慰謝料、さらには判決にも劣らない弁護士費用と遅延損害金(20%)につながっていると言えるだろう。