判例: 高次脳機能障害
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自立生活していたにもかかわらず逸失利益100%、介護料2,000円を認めさせた例
和解でありながら35%の遅延損害金と弁護士費用を獲得
■高次脳機能障害(判例032) 裁判所認定額 約1億3,500万円 ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
26歳・男性
(会社員) |
認められた主な損害費目
(※弁護士費用及び遅延損害金相当) |
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詳細
事故発生から損害賠償請求訴訟を提起するまでに、7年という長い歳月がかかった事案です。
その間、原告本人は高次脳機能障害を負いながらも、自立を促そうとした親の方針によって一人住まいを余儀なくされていました。ところが、裁判ではこれが裏目に出ることに。被告側は「一人住まいができるのだから労働可能である」「介護料は不要である」と継続して主張。
つまりこの裁判では、逸失利益が100%か? 介護料が必要か? ということが大きな争点となったのです。
しかし、原告は一人住まいをしていたものの、現実には自立は困難で、自殺願望も出ていました。そこで我々は、医者の勧めに従って一人暮らしを解消させ、本格的なリハビリを受けながら、本人の障害の実態に合う生活スタイルに変更。その上で、損害賠償の請求訴訟に取り組みました。
その結果、裁判所は1日2,000円の介護料と大卒の逸失利益を100%認めたのです。さらに、事故から解決まで9年かかっていたため、和解ではありましたが、裁判所は遅延損害金と弁護士費用を合わせて3,400万円(35%)という高額で認めました。本件は、高次脳の患者に対する家族リハビリの必要性を痛感させられた事案だといえるでしょう。 (東京地裁管内 和解)
認定額増加のポイント
本件は、両親が被害者であるわが子への愛情から、自立を促し、「一人住まい」を選択させていたが、残念ながら、そこには高次脳に対する間違った判断があったといわざるを得ない。結果的に原告は「死にたい」と漏らすようになり、母親が毎日通いでの介護を強いられていた。しかし、被告側から見れば、事実上「半自立」の状態であったことから、高次脳機能障害等級は3級ではなく5級であり、労働能力喪失率も100%ではないと主張してきた。それはある意味、当然の主張といえるだろう。そこで我々は、医師の援助をえて、現実的には社会人としての自立は無理であり、高次脳機能障害等級は3級で労働喪失率も100%であることを緻密に立証。その結果、逸失利益が1億1,500万円と莫大なものになったという好事例である。