判例: 高次脳機能障害
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和解でありながら判決と遜色のない判断を勝ち取った例
アルバイトでも将来正社員になる可能性を主張し、高額の逸失利益を獲得
■高次脳機能障害(判例029) 裁判所認定額 約3億円 ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
35歳(症状固定時)・女性
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認められた主な損害費目
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詳細
高速道路を走行中の乗用車が渋滞に巻き込まれて停止中、後続のダンプカーが追突し、乗用車に乗っていた親子3人が受傷した事案です。中でも脳挫傷を負った娘のAさん(事故当時33歳・独身)の障害は重篤で、事故から2年後、1級1号の障害認定を受けました。退院後は車椅子生活となり、自宅で両親の介護を受けながら暮らしています。
この裁判では、被害者の逸失利益がもっとも大きな争点となりました。Aさんは大学を卒業後、中学校の教員として勤務していましたが、本件事故当時は外国語講師としてアルバイト中で、実際の収入は年間140万円程度でした。しかし、将来的には語学を生かした会社で正社員として勤務する蓋然性が高いことを強く主張したところ、裁判所は35歳大卒女子の年齢平均賃金(550万6,600円)を基準とし、和解で約8,700万円の逸失利益を認めました。 そのほか、約1,000万円の住宅改造費のほか、両親が高齢のため日額2万円の介護料、さらに4,000万円という高額の慰謝料(本人+両親)も、すべて原告側の主張通り認められました。 (山梨・甲府地裁管内 和解)
認定額増加のポイント
和解の場合、裁判所は、遅延損害金+弁護士費用を判決の約半分しか認めないことが常となっている。しかし本件の場合、被害が深刻なことも鑑み、原告側は和解でも5年分(25%)の遅延損害金を全て認めるべきだと主張していた。その結果、裁判所は被告側の「認めるべきではない」という反論を抑え、判決なら遅延損害金と弁護士費用合わせて9,500万円になるところを、和解でありながら7,000万円まで認めた。本件和解案には、原告側の積極的な主張が相当盛り込まれているといえるだろう。