判例: 高次脳機能障害
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家族の事情を考慮した緻密な立証が決め手
高次脳で週5日の職業介護人を認めたケース
■高次脳機能障害(判例022) 裁判所認定額 約1億1,800万円 ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
68歳・女性
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認められた主な損害費目
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詳細
信号のない交差点で、横断歩道を横断中の女性(当時68歳)が、右折の普通貨物車と衝突。脳挫傷、頭蓋骨骨折、右視神経損傷などの重傷を負い、2級の高次脳機能障害(右目失明等により併合1級)の重度障害が残ったというケースです。
被害者の女性は、実の娘夫婦と孫の3世代同居でした。夫は年金受給の高齢者、娘婿は自営業で出張が多く、娘(Aさん)は家事と小学生の育児、そして夫の仕事の事務補助も担っており多忙でした。そこで原告は、被害者は片目失明に加え、度重なるてんかん発作があることなどから日常生活すべてに介助が必要だとして、日額2万円の介護料を主張しました。ところが被告は、娘のAさんが自宅にいることを理由に含め、「高次脳は2級であるから随時介護で十分。また、職業介護人の必要性は認められず、家族介護の日額2,000円で十分」と反論してきたのです。
そこで原告側は、被害者の障害の程度と介護の必要性について、医師の詳細な意見書を添え、一つひとつこまかく立証。さらに、娘のAさんには家事と育児、自営業手伝いがあることから、職業介護人が必要であることをあらためて主張しました。その結果、裁判所は、将来介護料について、週5日は職業介護人(1日7時間程度)と家族介護、週2日は家族介護と認定。
要介護期間は365日を通して日額1万5,200円を認めました。また、逸失利益については、被害者が早朝に家事を済ませてから出勤していたことなど、専業主婦の家事負担と会社勤務の両面から損害が発生していることを主張。結果的に、当時の給与所得よりも高額な65歳女子の平均賃金を基礎収入とする休業損害と逸失利益が認められました。 (東京地裁管内)