判例: 高次脳機能障害
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子どもの高次脳機能障害(2級3号)
「介護費用不要」との損保主張に全面勝訴
■高次脳機能障害(判例019) ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
6歳・男児
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認められた主な損害費目
過失相殺25%控除後約1億2,400万円 |
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詳細
交差点を自転車で直進していた小学1年生の男子が、交差道路(優先道路)を直進してきたトラックにはねられ、2級3号の高次脳機能障害(記銘力障害・学習障害等)が残ったケースです。
被告側は「被害者側に50%の過失がある」、原告側は「過失はゼロ」と主張しましたが、結果的に裁判所は、「小学1年生とはいえ、交差点の手前で一時停止すべきであった」とし、被害者の過失を25%と認定しました。
本件で最も大きな争点となったのは、「介護料」です。損保険会社側は、(1)等級は5級程度 (2)児童のため回復の可能性がある、(3)身体機能に大きな障害がなく介護は不要、といった主張で争ってきました。それに対し、原告側は詳細な陳述書を作成。また、証人尋問や主治医の意見書、介護業者の費用などの立証を重ねた結果、裁判所は原告側の主張をほぼ認め、子供のときに受傷した高次脳機能障害は、むしろ成人のそれよりも社会生活への適応が困難とし、常時介護と同レベルの介護が必要と認定しました。
母親が67歳までの期間における職業介護人の利用を、週2日しか認めていない点については多少の不満が残りますが、2級でありながら介護料の1日単価として「1万4,000円」及び「1万7,000円」を認めている点は十分に評価できるでしょう。 (北海道・札幌地裁管内)
・原告が義務教育(15歳まで)の8年間 |
・介護母が67歳までの23年間 |
・原告余命までの41年間 |
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家族介護7,000円×365日 |
家族介護 7,000円×240日 職業介護1万4,000円×125日 |
1万7,000円×365日 |
合計 約7,100万円 |
※本件立証のポイント
受傷時が6歳ということもあり、介護期間については、義務教育期間(1期)、母親が67歳までの期間(2期)、それ以降(3期)に分割した。その結果、1期は母親の介護(1日7,000円365日)、2期は母親の介護(1日7,000円×240日)職業介護人併用(1日1万4,000円×125日)、3期は職業介護人(1日1万7,000円×365日)という認定となった。
※認定額のポイント
逸失利益は、男性労働者の平均賃金を基礎収入として、原告が18歳から67歳までの49年間 100 %喪失したものとして、約5,800 万円が認められた。 本人の後遺障害慰謝料約2,300万円のほか、両親の慰謝料約300万円、合計約2,600万円が認められた。