判例: 高次脳機能障害
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子どもの高次脳をどうとらえるべきか?
3級でも「介護」を認めた画期的判決
■高次脳機能障害(判例014) ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
11歳・男児
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認められた主な損害費目
過失相殺なし |
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詳細
交差点の青信号にしたがって横断していた11歳の男子(小学生)が、信号無視の貨物自動車にはねられ、脳挫傷、びまん性軸策損傷などの重傷を負い、高次脳機能障害3級に認定されたケースです。この裁判では、子どもの高次脳機能障害とその介護をどのようにとらえるか、ということが大変難しい争点となりました。
もともと自賠責では後遺障害等級が2級以上でなければ介護を認めません。さらに子どもは“学校”という保護された場所にいることや、通常は親による世話や家庭教育がおこなわれること、また成長とともに回復の期待もあるため、本当に「介護」が必要なのかどうかという議論もなされました。
しかし、この裁判では不確定な要素があったにもかかわらず、被害者の現状の障害をかんがみて3級でも介護費用(下図参照)を認めました。通院していた子供療育センターの医師や、中学校の先生による「障害が残存していて、成人してからも周囲の温かい見守りが必要」といった内容の意見書の提出も効果的だったと思います。親子の介護実態からいうと極めて妥当な判断だったと評価しています。 (愛媛・名古屋地裁管内)
介護パターン
・親が67歳までの24年間 | ・親が67歳以降原告の余命まで |
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家族介護日額3,000円×365日 | 職業介護人日額6,000円×365日 |
※認定額増額のポイント
逸失利益は、全年齢平均賃金560万円を基礎収入として、18歳から67歳までの49年間、100%労働能力を喪失したものとして認定された。
介護料は、上表のとおり、親が67歳になるまでは家族介護日額3,000円×365日、親が67歳以降原告の余命までは職業介護人日額6,000円×365日が認定された。
慰謝料は、赤信号無視という加害者の過失の重大さ等を考慮して、2,700万円が認定された。