判例: 高次脳機能障害
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将来介護料を原告の主張どおり認定
緻密な立証で住宅改造費や慰謝料も高額に
■高次脳機能障害(判例012) ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
19歳・男性
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認められた主な損害費目
過失相殺なし |
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詳細
乗用車(A)が路外施設に入ろうとした際、対向車線を直進してきた乗用車(B)と衝突。A車に同乗中だった19歳の男子大学生が、脳挫傷による高次脳機能障害、四肢体幹機能障害等の後遺障害(1級3号)を負ったというケースです。
争点となったのは「将来介護料」でした。母親がパートの塾教師をしていた関係上、週に2日は職業介護人の助けが必要でした。そこで、家族介護と職業介護の併用が必要だと主張したところ、判決ではこちらの主張どおり、日額1万1,500円の職業介護(母親が67歳まで)が認められました。また、被害者は当時大学生でしたが、逸失利益は大卒の満額が、また、住宅改造費も満額、後遺症慰謝料も本人含め3,400万円という高額が認められました。緻密な立証が緻密な認定につながった好事例です。 (群馬・前橋地裁管内)
介護する母親(職業パート)を考慮した介護料の算定について
母親が67歳まで | 母親が67歳以降原告の余命まで | |
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塾講師パート勤務年間125日 | 母親付付添介護年間245日 | 年間365日 |
職業人介護日額 9,500円 早朝夜間の家族介 日額 2,000円 合わせて日額1万1,500円の介護料を認めた。 |
家族介護日額 1万円 |
職業人介護日額 1万4,000円 年間通して日額1万4,000円の介護料を認めた。 |
※認定額増額のポイント
事故以前、塾でパートの講師をしていた。母親は、今後も自らが身に付けている知識や技術を生かした仕事に就き、生徒とのふれあいを通して自己実現を図りたいと、職業介護人による介護料を求めた。その結果、母親が就業する間の介護料が認められた。
原告(被害者)は、事故当時19歳の大学1年生。交友関係や就学状況から、事故がなければ順調に卒業し就業できていたであろうと(高度な蓋然性)、大学卒平均賃金(年間680万円)を基礎収入とした逸失利益が認められた。
住宅改造費については、改修工事全体の金額(約2,200万円)のうち、原告(被害者)の介護生活に必要なバリアフリー化部分(約1,000万円)のみを請求。被告から、「バリアフリー化により家族が受ける利益分を控除すべき」と反論があったが、裁判所は「副次的に過ぎない」として請求額全額が認められた。
本人後遺障害慰謝料2,800万円、家族慰謝料600万円、合計3,400万円の高額な慰謝料が認められた。