判例: 高次脳機能障害
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高次脳機能障害2級でも、常時介護と職業介護を認める流れを作った画期的判決
原付バイクで直進中の男性(23歳)が、路外へ進出しようとした対向右折乗用車と...
■高次脳機能障害(判例010) ■画期的判例 高次脳機能障害 被害者データ
23歳・男性
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認められた主な損害費目
(過失相殺30%控除後約1億5,700万円) |
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詳細
原付バイクで直進中の男性(23歳)が、路外へ進出しようとした対向右折乗用車と衝突。脳挫傷による2級の高次脳機能障害を負ったという事故です。2級とはいうもののその症状は極めて重く、被害者の精神年齢は5歳程度、記憶力は0に近い状態。火の始末を忘れるため、火災など重大な事態を招く危険性もありました。 このケースの場合は離婚した父親が一人で被害者の介護にあたっていたため、父親が詳細な陳述書で起床から就寝まで常に看視していなければならない介護の厳しい現実を立証。同時に、職業介護人による常時介護の必要性を訴えました。一方、被告側は「家族による随時介護で十分だ」という主張をしていました。 結果的に裁判所は、「看視」を必要とする常時介護と職業介護の相当性を認め、父親が就労可能な期間の職業介護を日額1万5,000円×240日、父親が68歳以降は<1万5,000円×365日>という高額な職業介護料を認めたのです(*計算式参照)。
過去に、2級でこれほどの介護料を認めたケースはなく、この判決を境にして「高次脳機能障害2級でも常時介護と職業介護を認める」という流れを作った非常に画期的な判決だといえるでしょう。また、2級で父親に慰謝料300万円を認めたのも異例なことでした。
原告のヘルメット不着用と鑑定を採用したスピード超過が認められたため、30%の過失相殺が行われたのは残念でしたが、緻密な立証活動の末総額2億2,000万円超の損害が認定された好事例です。 (愛知・名古屋地裁管内)
認定された介護料の内訳
父親が67歳まで | 父親が67歳以降原告の余命まで | |
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平日 年240日 | 祝日休日 年125日 | 年間365日 |
職業介護人日額 1万3,000円 家族介護日額 2,000円 合わせて日額1万5,000円の介護料を認めた。 |
家族介護人日額 7,000円 |
職業介護人日額 1万7,000円 年間通して日額1万7,000円の介護料を認めた。 |
※認定額のポイント
介護料算定にあたり、原告居住地の日常生活支援の介護料基準を参考にした。
高卒全年齢平均賃金を基礎収入とする逸失利益が認められた。