症状の重い被害者の介護実態を丁寧に立証し、高額の介護料を獲得
本件の主な争点は、逸失利益、将来介護料、住宅改造費でした。 将来介護料については...
■後遺障害等級:1級 確定年:2010年
■前橋地裁 (和解)
被害者データ
17歳
・女性
(高校生)
原告が自転車で自転車横断帯を横断中、左方狭路から被告車両が衝突。
遷延性意識障害
(群馬・前橋地裁管内)
認められた主な損害費目
将来介護料 |
約1億4,200万円 |
休業損害 |
約9,000万円 |
住宅改造費 |
約1,400万円 |
将来雑費 |
約1,100万円 |
介護機器諸費用 |
約2,100万円 |
傷害慰謝料 |
約500万円 |
後遺障害慰謝料 |
約2,500万円 |
近親者慰謝料 |
約800万円 |
その他 |
約1,900万円 |
損害額 |
約3億3,500万円 |
過失5%控除後損害額 |
約3億1,800万円 |
調整金※ |
約3,200万円 |
総計 |
約3億5,000万円 |
既払控除(任意) |
-約1,900万円 |
既払控除(自賠責) |
-約4,000万円 |
最終金額 |
約2億9,100万円 |
(※弁護士費用及び遅延損害金相当額)
詳細
本件の主な争点は、逸失利益、将来介護料、住宅改造費でした。
将来介護料については、家族介護日額1万円、職業介護日額2万5000円という高額が認められました。実は、この被害者は症状が重く、介護には必ず二人が必要でした。そこで我々は、日々の介護の大変さを母親の陳述書で丁寧に立証し、仕事を持つ母親と父親が夫婦で介護を行う日を年間85日、残りの280日は、職業介護人が行うという主張をおこなっていたのです。
住宅改造費については、1600万円を請求しました。相手側はこれについても「高すぎる」と反論してきましたが、無駄のない正確な見積もりをとっていたため、1割のみ減額されたものの、ほぼ希望通りの金額が認められました。 (群馬・前橋地裁管内 和解)
増額のポイント
加害者側の損保会社は、遷延性意識障害者の自宅介護を認めようとしないのが常であるが、被害者の両親は自宅での介護を強く希望されていたため、我々はそれを前提に訴訟を起こした。
裁判では、実際に母親が療護センターで受けた介護訓練の内容や、医師の判断も添えた上で、自宅介護は可能だということを立証。その上で、裁判所に自宅介護が可能だということを認めさせ、将来介護費用や住宅改造費を算出した。その結果、両親の慰謝料800万円を含む、3億3500万円(5%の過失相殺前)という極めて高額の賠償を勝ち取ることができた。
将来のある高校生が、遷延性意識障害という思い障害を負った過酷な事案であるが、両親の思いを十分に汲み取った上で、判決にも匹敵する和解をすることができた。その点では大変ご満足いただけた事案である。