脾臓摘出による"疲れやすさ"を主張し、7級相当の労働能力喪失率を認めさせたケース
原告の陳述書を提出するなど、丁寧な立証を試みるなどの積み重ねが、比較的軽い障害でも十分な賠償額を勝ち取ることにつながった
■上下肢切断・機能障害他(判例005)
■後遺障害等級:併合6級 確定年:2009年
裁判所認定額 約5,200万円
■東京地裁管内 (和解)
■後遺障害等級:併合6級 確定年:2009年
裁判所認定額 約5,200万円
■東京地裁管内 (和解)
被害者データ
30歳
・男性
■原告が大型二輪車で交差点を青信号直進中、対向右折車と衝突
左上肢機能障害・脾臓摘出 併合6級
(東京地裁管内 和解)
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約5,840万円 |
---|---|
休業損害 | 約740万円 |
後遺障害慰謝料 | 約1,180万円 |
その他 | 約970万円 |
損害額
|
約8,730万円 |
労災控除後損害額 | 約7,790万円 |
過失20%控除後損害額 | 約6,230万円 |
既払控除 | ▲約1,590万円 |
既払控除後(自賠責) | 約4,640万円 |
調整金※ | 約560万円 |
最終金額 | 約5,200万円 |
※弁護士費用及び遅延損害金相当額
詳細
ひとつめの争点は、過失割合でした。
相手側は、原告側にもスピードオーバーの違反があるため、原告に25%の過失があると主張してきましたが、我々は右直事故の基本過失割合である85対15が相当であると主張したところ、裁判所は、原告の過失を20%と判断しました。
もうひとつの争点は、逸失利益でした。
原告は本件事故によって脾臓を摘出していましたが、脾臓摘出による労働能力喪失率をどの程度見るかという問題はいまだはっきりしていないため、我々は原告の陳述書によって事故後に疲れやすくなったことなどを立証。左上肢機能障害と合わせて併合6級の1級下である7級相当の労働能力の喪失(56%)があると主張しました。
その結果、裁判所は原告側の主張を認め、5,800万円を超える高額な逸失利益を認めました。 (東京地裁管内 和解)
増額のポイント
脾臓摘出については、労働能力の喪失を認めないケースも多い。しかし、本件の原告の職業は運転手であり、我々はその障害が仕事に与える影響を完全に否定することはできないと考え、原告の陳述書を提出するなど、丁寧な立証を試みた。こうした積み重ねが、比較的軽い障害でも十分な賠償額を勝ち取ることにつながっていくと言えるだろう。