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高次脳機能障害

脳梗塞による既往症があった方の解決事案

実年収200円に対して,300万円の基礎収入が認められた

■高次脳機能障害(判例169)
■後遺障害等級:2級 確定年:2017年 和解
■東海地方

被害者データ 50代後半 ・男性 (会社員)
男性 会社員 50代後半
自転車で走行中,路外から道路に進入してきた自動車に衝突された
現存障害:高次脳機能障害2級 既存障害:神経系統9級

認められた主な損害費目

休業損害

約80万円

傷害慰謝料

300万円

逸失利益

約2,810万円

後遺障害慰謝料

2,570万円

将来介護料

約4,510万円

その他

約400万円

損害額

約1億0,675万円

素因減額25%控除後

約8,000万円

過失10%控除後

約7,200万円

任意保険金控除

-約400万円

自賠責保険金控除

-2,384万円

調整金

約725万円

最終金額

約5,140万円

*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金2,384万円を加えて,総額約7,520万円を獲得した。

詳細

加害者の主張

① 被害者の事故直前の現実収入は年間200万円程度であったから,同額をもって基礎収入とすべきである。
② 被害者は,本件事故以前にも幾度に渡る脳梗塞に罹患し,身体麻痺による歩行障害等の症状があった。これに対して,本件事故の衝撃は決して大きいものではなく,そうであるにも関わらず被害者に重度(2級)の後遺障害が残存したのは,既往症(脳梗塞)が大きく寄与したとみるべきである。その割合としては,既往症の素因50%,本件事故50%とするのが相当である。

裁判所の判断

① 本件事故の約1年前まで勤めていた会社における年収が350~400万円程度であったことに加え,原告の年齢や既往症の程度を考慮すれば,本件事故がなければ,生涯に渡り年収300万円程度の収入を得られたものと認める。
② 確かに,既往症の寄与があったことは否定し得ないものの,本件事故以前には独歩で就労しコミュニケーションも取れていたこと,本件事故の衝撃も決して小さいものではなかったことを考慮すれば,素因減額は25%を相当とする。

当事務所のコメント/ポイント

 この方の場合,事故以前から軽度の脳梗塞を繰り返していたこともあり,ご家族自身が,裁判に踏み切ることに否定的であった。しかし,当事務所が事故直後からお手伝いし,入所施設を紹介するなど被害者と綿密なコミュニケーションを取っていた結果,徐々にご家族の気持ちも前向きになり,裁判を始めることができた。
 実際の裁判では,加害者から,「本来重度の後遺障害を負うほどの事故ではなく,脳梗塞による元々の脳の脆弱性も相まって,重度の後遺障害を負った」と主張されたが,後遺障害2級が交通事故を主たる原因とすることを丁寧に立証し,既往症の影響を25%に抑えることに成功した。また,被害者のこれまでの経歴や収入を分析し,事故直前の実収入200万円を上回る300万円の基礎収入を獲得することができた。
 その結果,裁判をしたことによって,ご家族にとって望外な賠償金を獲得することができ,大変喜ばれた事案である。
 このように,一部の例外的なケースを除き,基本的には,裁判外の示談ではなく,裁判を選択した方が良い解決(=高額な解決)を得られるケースが多い。当事務所では,依頼者の意向も踏まえつつ,裁判における解決を原則としている(解決方法の違いについては,当ホームページの「交通事故3つの解決方法」を参照)。

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