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高次脳機能障害

高次脳機能障害1級の兼業主婦被害者につき,給与収入のみならず家事労働分も考慮した逸失利益約1710万円を認定させ,75歳被害者としては高額な総額約7,800万円を獲得した事例。

将来施設介護料について被害者入居先施設の金額が高すぎるとの加害者主張を排斥し,現入居先施設利用額に沿った将来介護料約3,150万円を認めさせた。

■高次脳機能障害(判例167)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2016年 和解
■東京地方裁判所管轄内

被害者データ 75歳 ・女性 (兼業主婦(マンション管理人))
女性 受傷時75歳 兼業主婦(マンション管理人)
原告が自転車を運転して交差点を青信号で直進中,交差道路から赤信号で直進してきた被告の自転車に衝突された。
脳外傷による高次脳機能障害1級1号

認められた主な損害費目

治療費

約330万円

休業損害

約150万円

逸失利益

約1,710万円

将来施設介護料

約3,150万円

成年後見費用

約240万円

傷害慰謝料

約270万円

後遺障害慰謝料

約2,370万円

その他

約60万円

損害額

約8,280万円

介護保険給付分控除後

約7,860万円

過失5%控除後

約7,470万円

既払い保険金控除(任意)

-約370万円

近親者慰謝料

約150万円

*調整金

約550万円

最終金額

約7,800万円

*調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当

詳細

加害者の主張

① 原告は事故当時マンション管理人として稼働し収入を得ていたのだから,逸失利益についてはその具体的な実収入額を基礎として算定すべきである。
② 原告は将来施設介護費用について,現在入居中のグループホームの料金に基づき請求しているが,他に安い施設が多数あるのだから,原告の請求額は高すぎる。

原告の反論

① 原告は単にマンション管理人として勤務していたのみならず,兼業主婦として家事を担っていたのだから,家事労働分も考慮した上で,基礎収入に統計上の女性平均賃金額を用いて逸失利益を算定しなければならない。
② 将来施設介護費用の請求額については,「他に安い施設が存在する」というだけでは,請求額が高すぎるなどと言うべきではない。原告の請求額は,他の一般的な施設と比べて高すぎることはなく,むしろ費用がより高額な施設すら存在するのだから,将来施設介護費用を減額される理由はない。

・最終的にこの2点について原告の主張に沿った内容での和解が成立。

当事務所のコメント/ポイント

 高次脳機能障害1級障害を負った被害者の将来施設介護費について,保険会社側は「金額が高すぎる。他に安い施設が存在する。」という主張を行った。これに対し我々は豊富な経験に基づき,被害者の入居先施設の料金は一般的に見て高額すぎる金額ではないこと,そもそも被害者の症状の重篤さを踏まえて手厚い介護が求められることからすれば,その請求する将来施設介護費用は適正であることを丁寧に論じた結果,裁判所は我々の主張を支持し,保険会社側の主張を排斥した。結果,将来の施設介護費用は約3,150万円という適正な金額を獲得した。
また,逸失利益についても,被害者の家事労働負担を無視してマンション管理人の収入分のみを対象とする保険会社側の主張に対し,家事負担分を無視することの不当性を我々において十分に反論した結果,我々の主張が無事に認容された。
以上の結果,総獲得額は約7,800万円と,75歳という被害者の年齢に照らせば高額なものにすることができた。

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