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高次脳機能障害

高次脳3級を争う相手側の主張を退け自賠責認定通りの等級を認めさせ,総獲得額約1億5390万円を勝ち取った例。

加害者の主張 ①事故の発生した現場交差点は,被告自動車の進路の方が道路幅が明らか...

■高次脳機能障害(判例116)
■後遺障害等級:3級3号、併合2級 確定年:2012年 和解
■広島地方裁判所管轄内

被害者データ 22歳 ・女性 (大手企業正社員)
女性 受傷時22歳 会社員(大手企業正社員)
原告が自転車で交差点を直進中,左方から交差点に進入してきた被告自動車に衝突された。
併合2級(脳外傷による高次脳機能障害3級3号,耳鳴り12級,嗅覚障害12級)

認められた主な損害費目

休業損害

約530万円

症状固定前介護料

約590万円

逸失利益

約6,670万円

将来介護料

約2,420万円

傷害慰謝料

約250万円

後遺障害慰謝料

約2,100万円

その他

約590万円

損害額

約1億3,150万円

*1過失20%控除後

約1億0,520万円

自賠責保険金控除

-2,590万円

既払い保険金控除(任意)

-約970万円

人身傷害保険金控除

-約370万円

近親者慰謝料

約200万円

*2調整金

約3,010万円

*3最終金額

約9,800万円

*1過失相殺分約2630万円は人身傷害保険金から塡補され,実質無関係。
*2調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*3自賠責保険金2590万円,人身傷害保険金約3000万円を加えた総受取額は約1億5390万円である。

詳細

加害者の主張

①事故の発生した現場交差点は,被告自動車の進路の方が道路幅が明らかに広かったのだから,原告には特に注意して交差点に進入する義務があり,この点を踏まえると30%の過失相殺をすべきである。
②原告は事故後もアルバイトを3日間行ったりパソコン教室に通ったりもしているのだから,原告の高次脳機能障害の程度(等級)はせいぜい7級か9級であるし,将来の付添介護は不要である。

原告の反論

①事故現場交差点の道路幅は,原告自転車側と被告自動車側とで大差はなく,「被告側進路の方が明らかに広い」と言う被告の主張は不合理である。そのため,原告の過失は高くても20%にしかならない。
②原告は高次脳機能障害のため人格が激変してしまい,試しに始めてみたアルバイトも3日しか保たず,パソコン教室でも感情を抑制できずに退校を余儀なくされた。このことからも原告が将来的に就労不可能であることは明白であるのだから,原告の高次脳機能障害の程度はまさしく3級相当であるし,将来にわたり介護が必要である。

・最終的にこれら2点について原告の主張に沿った内容での和解が成立。将来介護料は日額5000円で算定した。

当事務所のコメント/ポイント

交通事故による高次脳機能障害について,自賠責保険で認定された等級を加害者側弁護士が争ってくる事態はしばしば見られるところである。この事例では,自賠責保険による3級の認定に対し,相手側から「実際の等級はもっと軽く,介護は不要である」という反論がなされた。そこで我々において,高次脳機能障害に起因する被害者の人格激変について丁寧に解説し,被告からの反論に対して全て的確な指摘・説明を行った結果,裁判所も自賠責保険の認定が適正であることを認め,相手側の主張を全面的に排斥した。
そして,その被害者に対する介護負担の重さについても適切な主張を行った結果,将来介護費は3級として十分に適正な日額5000円(総額約2420万円)が認定された。
また,過失相殺については,双方の進路の道路幅が「明らかに広い」ことの法的意味について,相手側による誤った法的解釈を論破し,裁判所に適正な過失割合を認めさせた。
さらに事故から判決まで7年半が経過し,約6000万円近くもの遅延損害金も認められたことから,3級にも拘わらず2億円を超える高額な賠償額を獲得することができた。加えて被害者家族がかけていた人身傷害保険金も適切に請求した結果,総取得額は自賠責保険金及び人身傷害保険金を併せて約1億5390万円と高額になった。

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