自営業と家事を切り盛りする主婦が高次脳障害1級の後遺障害に
日額18,000 円を基準とする高額介護料と、高額な慰謝料などを認めた例
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2007年
裁判所認定額 約1億9700万円
■東京地裁管内
被害者データ
50歳前後
・女性
信号機のある T 字路交差点で、横断歩道を青信号で横断中の歩行者に、右折の普通乗用車が衝突
脳挫傷による高次脳機能障害、左上肢機能障害、体幹機能障害等 1 級1号
(東京地裁管内)
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約4,100万円 |
---|---|
将来介護料 | 約9,600万円 |
介護雑費等 | 約1000万円 |
住宅改造費 | 約700万円 |
後遺障害慰謝料 | 約2,800万円 |
近親者慰謝料 | 約700万円 |
その他 | 約800万円 |
計 | 約1億9,700万円 |
詳細
信号機のある T 字路交差点で、横断歩道を青信号で横断中の歩行者 (50 歳前後 女性 ) に、右折の普通乗用車が衝突し、頭部外傷、外傷性脳動脈解離、脳梗塞等の傷害を負い、左上肢機能麻痺と体幹機能麻痺を伴う高次脳機能障害1級の後遺障害を負ったケースです。
自営業と家事を切り盛りしていた原告( 50 歳前後 女性)が事故に遭い、夫は妻の介護のために事業が振るわなくなり収入が激減しました。原告側は、妻の障害は重く、着替え・食事・トイレ・入浴など日常生活全てに介護が必要あることの証拠を沿えて主張し、職業人介護による常時の介護料を請求しました。しかし、被告は、「原告は相当部分自立しており、随時介護で足りる」、「このような介護サービスは将来進歩し低額化する」などとして、減額を求めました。この介護の程度と介護料について裁判所は、日常生活動作の一つ一つを検証し、「理解力の低下が最も重篤、また意味不明の言葉を口走ることがある。放っておくと車椅子からの転落やガスの付け放しがあり危険、指示をしないと服薬や通院など必要なことを何もしようとしない」ことから、「日常生活において、常に行動を看視し、指示、声かけをする介護者の存在を欠かすことができない状態」と認めました。また、事業復帰を望む夫や、就業や学業をしている子4人の主張を認めて、職業介護人による常時介護料 ( 約 9,600 万円 ) を認めました。
また、家族生活に極めて大きな打撃を被ったことによる本人後遺障害慰謝料約 2,800 万円のほか、事業に就けず妻の介護の日々を送ることになった夫への慰謝料 ( 約 300 万円 ) と、母の被害により多大な精神的苦痛を被った子 4 人への慰謝料(各 100 万円)で、合計 3,500 万円という高額な慰謝料が認められました。
その他、介護にかかる諸経費や住宅改造費なども認められ、総額 1 億 9,700 万円の損害額が認定されました 。 (東京地裁管内)
介護する夫が 67 歳までの 12 年間 |
職業・近親者介護日額 18,000 円× 240 日 近親者介護日額 8,000 円× 125 日 |
---|---|
介護する夫が 67 歳以降の 23 年間 | 職業介護人日額 18,000 円× 365 日 |
※認定額増加のポイント
逸失利益は、被告から 15 %控除主張されたが、原告の主張どおり、症状固定時の基礎収入と労働能力喪失期間 17 年間で、約 4,100 万円が認められた。
介護雑費等は、紙おむつ等の雑費として月額 3 万 5,000 円、及び車椅子、介護ベッド代等、合計約 1,000 万円が認められた。
本人後遺障害慰謝料 2,800 万円のほか、夫へ慰謝料 300 万円、子4人へ慰謝料計 400 万円、合計 3,500 万円と高額な慰謝料が認められた。