脊髄損傷1級で総額約4億円を獲得した高額判決
将来介護料日額2万5,000円が認められる
■後遺障害等級:1級 確定年:2014年 判決
■東京地方裁判所管轄内
被害者データ
7歳
・男児
(小学生)
男性 小学生 受傷時7歳 症状固定時8歳
被害者が交差点を横断歩行中、右方からの自動車に衝突される
脊髄損傷1級
認められた主な損害費目
傷害慰謝料 |
420万円 |
---|---|
逸失利益 |
約5,830万円 |
将来介護料 |
約1億6390万円 |
介護器具代(車椅子、装具等) |
約1,160万円 |
住宅改造費 |
約2,230万円 |
将来雑費 |
約1,050万円 |
後遺障害慰謝料 |
3,600万円 |
その他 |
約1,240万円 |
損害額 |
約3億1,920万円 |
過失5%控除 |
-約1,600万円 |
既払任意保険金控除 |
-約1,230万円 |
自賠責保険金控除 |
-4,000万円 |
弁護士費用 |
約2,670万円 |
遅延損害金 |
約6,650万円 |
近親者慰謝料 |
約830万円 |
最終金額 |
約3億5,240万円 |
自賠責保険金4,000万円を加えて,総額約3億9,240万円を獲得
詳細
主な争点
①キックスケーターに乗っていた原告の過失
②全麻痺の8歳の子供の介護料
③住宅改造費
加害者の主張
①キックスケーターに乗っていた原告は、歩行者というよりかはむしろ自転車と評価すべきであり、また、被告車両の目前約9.8メートルで飛び出した原告にも30%の過失が認められる。
②交通事故訴訟実務において、将来介護料は日額8,000円に定額化されており、それを超える損害については、本件事故と因果関係を認めることはできない。
③住宅改造費について、風呂場の改造等必要ない改造が含まれていることに加え、原告の家族も利益を享受することから、その利益分は控除されるべきである。
裁判所の判断
①本件事故は、被告が制限速度を大幅に超過して走行し、徐行することなく、また、左右の安全確認を何らすることなく、見通しの悪い交差点に進入したという被告の重大な過失を原因として発生したものというべきである。他方、原告にもキックスケーターに乗って漫然と交差点に進入した過失が認められるが、原告が児童であったこと、周辺が住宅街であったこと等に照らすと、その過失は、被告の過失の程度に比して極めて小さいものと評価すべきである。したがって、原告の過失を5%とする。
②症状固定時8歳の原告は、近い将来その体重が増えて60キログラムを超える蓋然性が高く、その原告を着替え、排便、オムツ交換、ベッドと車椅子の移乗等を行うことは、相当大きな負担がかかることは明らかであり、原告の母が一人で行うことは非現実的であるとともに、レスパイト(介護からの解放)の観点からも、職業介護人による介護が必要と認められる。
ア母67歳まで
・年間300日
日中職業介護:日額2万円
夜間近親者介護:日額5000円
・年間65日
全日の近親者介護:日額1万円
イ母67歳以降
・年間365日
全日職業介護:日額2万5000円
③住宅改造の必要性が認められないとする被告の主張を斥け、約2,230万円という原告の請求額全額を認容する。
④入院中の母による付添看護費用を日額8,000円として認める。
⑤後遺障害慰謝料については、基準額から増額し、3,600万円を認める。
当事務所のコメント/ポイント
本件は、ほぼ原告の請求どおりに認められた全面的勝訴の高額判決であり、自賠責保険金4,000万円を加えて、総額約3億9,240万円の賠償金を獲得し、依頼者の方にも大変喜ばれた。
各費目についてみると,将来介護料の日額は2万円程度が標準的な相場であるのに対して、日額2万5,000円が認められた。住宅改造費についても1,000万円程度が相場であるのに対して,約2,230万円全額が認容されるなど、当事務所の証拠に基づく損害費目の緻密な立証が積み重ねられた結果、高額な賠償金を獲得することができた。