将来の不安定な財政事情を理由に、デイサービスの実費1万円が認められた例
緻密な見積書により、住宅改造費等や介護用品代をほぼ満額獲得
■後遺障害等級:1級 確定年:2010年
■東京地裁 (和解)
被害者データ
70歳
・男性
(自営業)
交差点で交通指導をしていた原告に、衝突事故の弾みで歩道に乗り上げた車が衝突。
脊髄損傷 1級
(東京地裁管内)
認められた主な損害費目
将来介護料 |
約3,700万円 |
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逸失利益 |
約700万円 |
住宅改造費 |
約600万円 |
介護器具諸費 |
約500万円 |
傷害慰謝料 |
約300万円 |
後遺障害慰謝料 |
約2,800万円 |
近親者慰謝料 |
約600万円 |
その他 |
約1,200万円 |
損害額 |
約1億400万円 |
調整金※ |
約900万円 |
総計 |
約1億1,300万円 |
既払控除(任意) |
-約1,200万円 |
最終金額 |
約1億100万円 |
詳細
この事故で脊髄損傷の重傷を負った被害者は、胸から下が麻痺し、車椅子生活を余儀なくされました。明らかに100対0の事故で、過失割合に争いはありませんでしたが、裁判では介護料、住宅改造費、介護用品代などが争点となりました。
まず、介護費用について、加害者側の損保会社は、「日額1万円のデイサービスを使ってはいるが、あくまでも実費の1000円で計算すべきだ」と主張してきました。たしかに、被害者は介護保険を使っているため、実際に負担しているのは1000円のみでした。しかし我々は「国の財政事情が不安定で、将来にわたって現在の公的給付が受けられるかどうか不明である。したがって1万円で計算すべきだ」と反論。その結果、裁判所は将来介護料として、日額1万円(職業介護人)を認めました。
その他、車椅子用の住宅改造費600万円をはじめ、こちらが請求した介護用品代等はほぼすべて認められました。 (東京地裁管内 和解)
増額のポイント
被告側は、公的補助やナスバの介護料を考慮し、介護費用を減額すべきだと強く主張してきたが、我々は上記のとおり、将来における国の財政事情が不安定であると反論し、デイサービス費用を全額認めさせた。
また、住宅改造費や介護用品についても、現実の必要性をこまかく立証し、無駄のない正確な見積書を出して議論した。その結果、71歳という高齢でありながら、総額で1億100万円という高額な和解を勝ち取ることができ、被害者には大変ご満足いただくことができた。