旧家屋におけるバリアフリー化の限界を立証し、稼働可能な被害者に対する将来介護料の必要性を認めさせた事案
被害者の置かれている環境を詳細に立証し日額1万5,000円の介護料が認められた
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2009年
裁判所認定額 約2億2,500万円
■福島地裁管内 (和解)
被害者データ
24歳
・男性
(会社員)
■被害者が自動二輪車(無保険)に同乗中、信号のない交差点で普通貨物車と出会い頭衝突
脊髄損傷(第4胸椎以下麻痺)1級1号
(福島地裁管内)
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約1億1,200万円 |
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将来介護料 | 約7,200万円 |
住宅改造費 | 約900万円 |
介護諸費用 | 約600万円 |
将来雑費 | 約600万円 |
本人慰謝料 | 約3,100万円 |
近親者慰謝料 | 約400万円 |
その他 | 約1,000万円 |
損害額
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2億5,000万円 |
調整金※
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約1,900万円 |
総計
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2億6,900万円 |
既払控除
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▲約4,400万円 |
最終金額 | 約2億2,500万円 |
他、バイク運転手から見舞金
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約500万円 |
(※弁護士費用及び遅延損害金相当額)
詳細
被害者はこの事故で第4胸椎以下が麻痺するという後遺障害を負いましたが、「座位のままなら仕事が可能」という医師の診断書が出ていたため、労働能力喪失率が問題となりました。相手側は90%、それに対して我々は100%を主張したところ、裁判所はその間を取って95%の喪失率を認めました。
もっとも大きな争点となったのは、住宅改造費と介護料でした。被害者は車椅子生活を余儀なくされたため、住居のバリアフリー化が必要でした。しかし、被害者の自宅は農家の古い家屋だったため、改造にはおのずと限界があり、日常生活にはどうしても他者の介助が必要でした。
そこで、我々は被害者の置かれている環境を詳細に立証したところ、
両親が67歳になるまでは日額4,500円、
67歳以降は1万5,000円
の介護料が認められたのです。
車椅子で稼動できる被害者につき、日額1万5,000円の介護料を認めたのは画期的だといえるでしょう。 (福島地裁管内 和解)
増額のポイント
本件はバイクの後部座席に同乗中の事故で、バイクとトラックによる「共同不法行為」にあたる事案だった。
バイク側に80%の過失があるという事故態様だったが、任意保険に未加入だったため、バイクの運転手は500万円の見舞金を払うことで和解が成立した。賠償額が高額になったのは、将来介護料が認められたことにあるが、個々の被害者が置かれている環境に目を向け、丁寧に立証を重ねることがいかに重要であるかということが明確になった好事例である。